うまくいかない。

うまくいかないなあと思いつつ、鉛のように重たいからだで病院に行く。Dr.はあくまでクールにわたしと会話する。(以前からそうである)「ーーそれで、どうしますか」。答えを求められて、窮する。わたしは求められる言葉を持っていない。

うまくいかない、でも、なにが? たぶん、なにもかも。こんなにもなにもかもがうまくいかなくて、この先どうなるんかな。地下鉄の窓硝子にうつった化粧の施されてない顔は、いつも以上に幼く、疲れて見えた。

それでも現実は動いてく。ちかぢか引っ越しをするので、追われるように、荷造りをしている。きょうはキッチンのお皿を段ボールに詰めた。いつのまにか箱ばかりになる狭いわたしのへや。来月にはわたしのへやではなくなる、狭くて古いへや。

吉本ばななさんの『キッチン』がとてもすきで、このところ読み返してるのだけど、いまのわたしとみかげの状況は似てる、気がする。気がするだけかな。わたしは天涯孤独ではない、でもキッチンでさいごを迎えたいきもちは、あまりにも、あまりにもわかるのだ。